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Googleアナリティクスをユニバーサルアナリティクスに移行してみた

Googleアナリティクスの設定画面に「Universal Analytics にアップグレード」の案内メッセージが表示されるようになりました。そろそろユニバーサルアナリティクスへの移行を考えているWeb担当者もいるかと思います。 でも、移行してデータが重複したり抜けたりしないか、トラッキングコード(タグ)をどのタイミングで差し替えればいいか、イベントトラッキングはどうなるか、色々と心配ですよね。

そこで、実際にGoogleアナリティクスからユニバーサルアナリティクスにアップグレードして検証してみました。データに抜けや重複がないようにアップグレードするには、次の図のような手順で移行するといいようです。

※追記:図ではタグを重複させるようになっていますが、その後検証したところ、GAとUAのタグを重複させると二重に計測されました。ですので、タグは重複させない方がいいです。

プロパティの移行を開始してからアップグレードが完了するまでに24〜48時間かかりますが、完了後もGAのタグは動くので、タグの切り替えはアップグレード完了後にゆっくり替えれば大丈夫です。Googleアナリティクス(GA)のタグとユニバーサルアナリティクス(UA)のタグは、切り替え時に一時的に重複させて設置すれば、GAのタグが自動的に集計されなくなり、データに抜けや重複は発生しないようです。※訂正:Googleアナリティクス(GA)のタグとユニバーサルアナリティクス(UA)のタグは、重複させないように差し替えます。イベントトラッキングに関しては以下で説明します。

(1)グーグルアナリティクスからユニバーサルアナリティクスに移行開始

アナリティクス設定のページを開くと、「Universal Analytics にアップグレード」の案内メッセージが表示されています。Googleアナリティクスからユニバーサルアナリティクスに移行を開始してみます。

移行についての概要は「アナリティクス 日本版 公式ブログ: ユニバーサル アナリティクスへのアップグレードについて」を参照してください。

 

アナリティクス設定を開き、移行したいプロパティを選択します。

プロパティの下の「Universal Analytics アップグレード 移行は開始されていません」をクリックすると移行を開始できます。

 

「移行」ボタンをクリックすると、確認ダイアログがポップアップします。まだUAではリマーケティングが使えないという説明が表示されます。

さらに「移行」ボタンをクリックすると、移行処理が開始されます。

移行処理は24〜48時間、GAトラッキングコードはそのままでよし

移行処理は24時間〜48時間かかるとの説明が出ます。今回移行したサイトはGAを組み込んでまだ数ヶ月ですが、移行完了に24時間以上かかりました。
ここでトラッキングコードを慌てて変える必要はありません。移行処理が終わってもGAのトラッキングコードは働いているので、ゆっくり差し替えれば大丈夫です。

移行処理中はの画面は次のようになっています。

 

 

移行処理中の画面に「タイムアウト設定を表示」というリンクがあるので開いてみます。

 

ユニバーサルアナリティクスではセッションやキャンペーンのタイムアウト時間を変更できるようになります。プロパティの移行完了までにここでタイムアウト時間を変更すればデータの連続性が保たれるようです。特に変更の必要がなければそのままでいいでしょう。

(2)移行完了してもGAトラッキングコードは働く

移行処理中の画面は閉じて構いません。再びアナリティクス設定を開いたとき、移行が完了しているとプロパティの欄に「移行が完了しました」と表示されます。プロパティがUAに移行すると、設定メニューにUA独自の設定項目「セッション設定」「オーガニック検索ソース」「参照元除外リスト」「検索キーワード除外リスト」「カスタムディメンション」「カスタム指標」などが現れます。

移行処理が終わってもGAのトラッキングコードは働いているのでデータが抜けることはありません。GAのイベントトラッキングも稼働していました。

次にユニバーサルアナリティクスのトラッキングコード組み込みです。プロパティの欄の「Universal Analytics アップグレード 移行は開始されていません」をクリックします。

 

「トラッキングコードを取得」をクリックするとユニバーサルアナリティクスのトラッキングコードが表示されます。

 

表示されたユニバーサルアナリティクスのトラッキングコードをWebサイトに貼付けます。

(3)UAトラッキングコードを重複して追加するとGAトラッキングコードは止まる止まらず二重計測される

トラッキングコード切り替えのとき、GAのトラッキングコードを先に削除してからUAのトラッキングコードを入れるまでに間が空くと、その間のデータが欠落してしまうので注意しましょう。

訂正:再度検証したところ、GAとUAのトラッキングコードを同じプロパティIDで重複させたところ、ページビューが二重に計測されました。GAのトラッキングコードの削除とUAのトラッキングコード追加は同時に行いましょう。イベントトラッキングについては未検証ですが、実装の仕方によってはGAのページビューのトラッキングコードを削除した時点でイベントトラッキングも計測されなくなることがあるので、同時に差し替えた方がよさそうです。

わざとGAとUAのトラッキングコードを重複して貼付けてみましたが、データが重複して集計されることはありませんでした。同時にトラッキングコードを入れ替えられないときは、一旦UAのトラッキングコードを追加してからGAのトラッキングコードを削除するのがいいでしょう。例えば、タグマネージャでUAを導入してからハードコーディングのGAトラッキングコードを除去したいときなどです。

UAのトラッキングコードが働き始めると、GAのトラッキングコードは自動的に集計されなくなるようです。このときGAのイベントトラッキングも停止しますので、イベントを連続して計測したいときは、UAのイベントトラッキングを準備してから切り替える必要があります。

この後、試しにUAのトラッキングコードを除去してGAトラッキングコードのみにしてみたところ、ページビューは測定されましたが、イベントトラッキングは停止したままでした。一旦UAトラッキングコードが動き始めると、GAトラッキングコードには完全には戻せないようです。

(4)GAトラッキングコードを削除したら完了

ユニバーサルアナリティクスのトラッキングコードが動き始めたら、Googleアナリティクスのトラッキングコードは不要なので削除して移行完了です。

イベントトラッキングとクロスドメイン

今回の移行では、GAのイベントトラッキングがアップグレード中でも動くことを確認しましたが、クロスドメインやUAのイベントトラッキング、その他の機能については細かく検証できていません。不具合がでる可能性は否定できませんのでご注意ください。

今、移行すべきか

アナリティクス設定の画面にアップグレードの案内が表示されるようになって焦っている方もいるかと思いますが、慌てて移行する必要はありません。一度移行を始めたら戻すことはできません。GAが廃止されるまではしばらく時間があるでしょうから、情報を集めて十分に検討してから、いつどのように移行するか決めましょう。

連続性重視ならアップグレードで移行

移行の方法には、プロパティのアップグレードで移行する方法と、後述の並行稼働で移行する方法があります。

リマーケティングやトラッキングコードのカスタマイズを特にしていなくて、データが分断すると分析するときに困る、という人は、プロパティをアップグレードする方法がいいでしょう。後述の並行稼働の方法ならもっと安全に移行できますがデータが分断されます。データの連続性を重視したい場合はアップグレードで移行する方が望ましいです。

ただし、リマーケティングをやっている方は、ユニバーサルアナリティクスがリマーケティングに対応してからアップグレードしても遅くはありません。

安全に移行したいときは並行稼働で

トラッキングコードをカスタマイズしていたり、イベントトラッキングやクロスドメインなどを使っている場合は、ユニバーサルアナリティクスのトラッキングコードを埋め込むのに時間がかかります。そしてプロパティをアップグレードする方法でそれらがスムーズに切り替えられる保証はなく、失敗しても後戻りできません。

データの分断が問題でなく、カスタマイズを多くやっているので安全な移行をしたい場合は、アップグレードを使わずに、新しくユニバーサルアナリティクスのプロパティを作成してGoogleアナリティクスと並行稼働させるのが安全です。Googleアナリティクスとユニバーサルアナリティクスはグローバル変数が衝突しないので両方のタグを同時に埋め込むことができます。ただしイベントやクロスドメインなど十分に検証していないと不具合が発生するかも知れません。手間はかかりますが、テスト環境を作って検証してから移行をするのが間違いないでしょう。

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投稿者: 村上 和久

アクセス解析・Webコンサルティングのアナライズネット代表・Webアナリスト。Googleアナリティクスの導入とカスタマイズ、ウェブ分析、アクセス解析に関するセミナーなどを行っている。

8件のコメント

  1. トラックバック: Google Analytics は Universal Analytics(ユニバーサルアナリティックス)にアップグレードしなくてはならないのか?いつまでに? | もう一度ゼロから学ぶ アクセス解析入門

  2. こんにちは。いつも大変参考にさせていただいています。

    タグを重複させたときの質問ですが、同じページで標準のアナリティクスのトラッキングコードと同じプロパティIDのユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードをダブルで実装したときは、重複カウントされるのではないでしょうか?
    試しにやってみると、直帰率が0になってしまったので・・・

    Googleのリファレンスには、“必ずすべてのページから基本の ga.js コードを削除してください。” とありまして…
    https://developers.google.com/analytics/devguides/collection/upgrade/reference/gajs-analyticsjs#snippet

    • BAKENEKOさん、情報ありがとうございます。
      私が試したときは、アップグレード後に両方のタグを入れても重複カウントされなかったのですが、仕様が変わったかも知れませんね。そうすると、同じプロパティIDのコードは重複させない方がいいですね。

  3. トラックバック: (時事ネタ)Google アナリティクスを意図せずユニバーサルアナリティクスにしてしまった他 | SILAND.JP BLOG

  4. http://markezine.jp/article/detail/19260
    従来のGAはUA正式版の2年後に廃止。ロードマップ、移行時の注意点が分かりやすくまとまってます。

  5. タグを重複させたテストの部分についての質問です。これは同じページで標準のアナリティクスのトラッキングコードと同じプロパティIDのユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードをダブルで実装したということですよね(念のため)。

    あるページでは標準のアナリティクスのトラッキングコードのままで、別のページはユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードという二つの種類のトラッキングコードを併存させても、この移行期間中ならどちらも正常に動くとは聞いておりますが、ここではそういうテストではないということの確認です。

    宜しくお願いします。

    • 衣袋さん、その通りです。
      リアルタイムレポートで確認しましたが、UAへアップグレード中に一時的に同じプロパティIDのGAとUAのトラッキングコードを同じページで重複させても、PVが二重カウントされることはありませんでした。

      UAのトラッキングコードを追加した時点でGAのイベントトラッキングが計測されなくなったので(送出はされますがリアルタイムレポートには出てこない)、おそらくUAのトラッキングが検出されるとGAのトラッキングを計測しないように処理してるのではないかと思います。