齊藤正明著『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』を読んだ。
読む前は、経営哲学の難しい話をマグロ船を通じて説明する本かなと想像していたが、そうではなかった。
この本は、会社でのストレスや人間関係の悩みの解決、コミュニケーションや仕事への取り組み方の知恵を教えてくれる。しかもそれがマグロ船の漁師の親しみやすい言葉で語られるので、難しい心理学の本やスキル本などと違って、とても分かりやすく、自然と素直に受け入れられる。
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入社して1年ほどの研究職の著者が、上司の命令でマグロ船に乗ることになった。暗くて怖いイメージがあったが、実際はまったく違っていた。全長わずか20mのマグロ船に9人もの男たちが乗り、一度出航すると40日以上も陸に戻ることなく過酷な環境で共同生活をする。そのような極度の環境でストレスをためない、上手なコミュニケーションの仕方がそこにはあった。
著者の様々な迷いや疑問に、漁師たちが経験で培ってきた知恵で答えてくれる。
- どこでマグロを捕るか、迷うよりも『決める』ことが大事。
- マグロが捕れんときこそ、感情をコントロールしぇんと。
- できることをすべてやったら、マグロが取れるかどうかは海が決めること。
- 人間できないことばかりぞ。欠点を気にするより、得意なことを磨け。
- 前向きばかりでなく、後ろ向きも大事。後ろ向きは危険を感じる能力ど。
- 『失敗がない』というのは、長い目で見たときには一番の失敗になるんど。
- 人は目が開いちょるからといって、見えるものを正しく見ちょるわけではねぇ。
- どんな風になりたいか理想を持っちょかんと、どれも中途半端になるんど。
マグロ船に乗った体験や会話を中心に書かれていて、とても面白く読みやすい。会社のストレスやコミュニケーションで悩んでいたり、将来どうしたいか迷っている方々に薦めたい。